夢も目標もないまま過ぎた日々
高校を卒業してから、僕は何の目標もなく、ただ毎日をぼんやりと過ごしていました。勉強が苦手で、大学に進学する気も起きず、フリーターとしてコンビニや居酒屋でアルバイトをしては、家に帰ってゲームをするだけの生活でした。ゲームだけは好きで、朝から晩まで画面の中の世界に没頭していました。
親との関係も良くなくて、顔を合わせれば喧嘩ばかり。次第に部屋にこもる時間が増えていき、ほとんど引きこもりのような状態になっていました。そんな僕にとって、現実の世界は居心地が悪く、ゲームの中だけが安心できる場所だったんです。
出張ホストとの出会いが転機に
そんな僕に転機が訪れたのは、友達から「出張ホストの仕事やってみない?」と声をかけられたことがきっかけでした。最初は半信半疑でしたが、話を聞いてみると意外と自由度が高く、自分のペースで働けることに魅力を感じました。勇気を出して面接を受け、なんとか採用されました。
働き始めて驚いたのは、周りのキャストたちがみんな夢や目標を持っていたことです。俳優を目指している人、美容師になるために勉強している人、海外留学を目指している人など、キラキラした話を聞くたびに「僕はこのままでいいのか」と焦りを感じるようになりました。
ドローンとの出会いでスイッチが入る
ある日、何気なくYouTubeを見ていたときに、ドローンを使った仕事の動画が目に留まりました。空撮やレースの映像がとてもかっこよくて、思わず見入ってしまいました。さらに調べてみると、ゲームが得意な人はドローン操作にも向いているという情報を見つけて、「これなら僕にもできるかもしれない」と思ったんです。
それから僕の中で何かが変わりました。出張ホストのシフトを増やして収入を安定させ、新宿で一人暮らしを始めました。そして、貯めたお金でドローンスクールに通い始めたのです。初めての授業は緊張しましたが、実際に操作してみるととても楽しくて、すぐに夢中になりました。
講師としての新たな一歩
スクールでは講師の方に「操作が上手だね」と褒められることが増え、自信がついてきました。ある日、講師の方から「うちで教えてみない?」と声をかけられたときは驚きましたが、嬉しさの方が勝っていました。今では、出張ホストの仕事と並行して、ドローンスクールの講師としても働いています。
人に教えることは難しいですが、自分が好きなことを伝えられるのはとてもやりがいがあります。生徒さんが「楽しい!」と言ってくれると、僕も嬉しくなります。今では、将来は自分でスクールを立ち上げたいという夢もできましたし、プロのドローンレーサーになるのも面白そうだなと思っています。
感謝とこれからの僕の夢
振り返ってみると、出張ホストの仕事が僕の人生を大きく動かすきっかけになりました。あのままゲームだけの生活を続けていたら、きっと今の僕は存在していなかったと思います。人と関わることで、自分の可能性に気づき、夢を持つことができました。
今でもゲームは好きですが、それ以上に現実の世界でやりたいことが増えました。出張ホストの仕事にも感謝しています。あの仕事がなければ、ドローンにも出会えなかったし、自分を変える勇気も持てなかったと思います。これからも、夢に向かって一歩ずつ進んでいきたいです。
優里 22歳 ドローンインストラクター