ゆうき(仮名)23歳 出張ホスト
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解体業から出張ホストのキャストになったきっかけ
僕は、明るさと素直さが取り柄の、どこにでもいるような男です。これまでの人生、色々な経験をしてきましたが、特に印象深いのは、やっぱり「仕事」にまつわる出来事。22歳の頃、解体業の世界に飛び込みました。体を使う仕事は好きだったし、現場の活気も心地よかったんです。毎日、汗を流しながら働くことに充実感を感じていました。でも、ある日の解体作業中、予期せぬ事故が僕を襲いました。コンクリートの大きなガラが、僕の肩に直撃しちゃったんです。診断結果は「複雑骨折」。幸いにも命に別状はなかったけど、この事故が僕の人生を大きく変えることになりました。
怪我は徐々に回復していったけど、一度感じてしまった「恐怖心」は、なかなか消えませんでした。現場に立つたびに、あの時の衝撃がフラッシュバックして、体がすくんでしまうんです。これじゃ仕事にならないって判断して、僕は現場を離れることになりました。もともとビジネス系の専門学校を卒業していたから、会社は僕を事務作業へと配属してくれました。現場とは全然違う環境だったけど、慣れないながらも一生懸命取り組んでいました。でも、そこにはまた別の壁があったんです。年配の職員の方々とのそりが合わず、人間関係に悩む日々が続きました。結局、僕はその会社を辞める決断をしました。
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戸惑いながらもナイトワークの世界へ
会社を辞めた後、僕はルート配送の仕事に就きました。運転が好きだったし、一人で黙々と作業できる点は性に合っていたと思います。でも、もう少し収入を増やしたいなって気持ちが募っていきました。そこで、仕事終わりに何か副業ができないかなって考えるようになったんです。職場から近い新宿のあたりで、ナイトワーク系の仕事を探し始めました。目立ちたがり屋ではない僕としては、最初はスタッフ、いわゆる黒服の仕事が良いなって思っていました。でも、求人を見ているうちに、ある「出張ホスト」の仕事が目に留まったんです。
「1日数時間から、いつでも自由に働ける」っていう言葉に、僕は強く惹かれました。黒服よりも自分の都合に合わせて働けるっていう融通の利く働き方に魅力を感じて、思い切ってキャストとして働くことを決意したんです。接客業は全くの未経験だったから、最初はもう、ガチガチに緊張していました。お客様と何を話せば良いのか、どう振る舞えば良いのか、頭の中はパニック状態でしたね。でも、実際にお客様とお会いしてみると、嬉しい誤算がありました。僕の担当になるお客様は、年上の方が多くて、皆さんとても優しく接してくださったんです。僕の拙い会話にも耳を傾けてくださって、時にはアドバイスまでくださる方もいらっしゃいました。そのおかげで、僕はすぐにこの仕事に慣れることができました。
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仕事を通して将来の夢ができた!
お客様との会話は、僕にとって新しい学びの場でもありました。様々な業種の方々のお話を聞くことで、自分の世界が広がっていくのを感じました。そして何よりも、お客様に喜んでいただけることが、僕自身の喜びとなっていったんです。おかげ様で、月給は以前の鳶職の時よりも格段に増えていきました。指名も安定して入るようになり、自信もついてきた頃、僕は昼職を退職し、出張ホスト一本でやっていくことを決めました。
今では、ナイトワークの奥深さにすっかり魅了されています。お客様との出会いだけでなく、この業界の仕組みや、人々を惹きつける魅力について、もっと深く知りたいって思うようになりました。最近は、サパーを含め、新宿の様々なバーを巡っては、お店の雰囲気や接客の工夫なんかを勉強させてもらっています。いつか、このナイトワークで稼いだお金を元手に、自分のお店を持ちたいっていう大きな夢があります。バーでも、キャバクラでも、ナイトワーク系の店を経営してみたいんです。挫折を経験し、回り道をしながらも、僕は今、自分の信じる道を進んでいます。これからも、持ち前のガッツと素直さで、この新しい世界を切り拓いていきたいと思っています。