フリーターから世界一周を目指す路上パフォーマーへ。出張ホストで夢に現実味が生まれた話

駅前で楽器を弾いたり、大道芸を披露したりする生活。それが僕の毎日でした。フリーターとして日雇いの仕事を転々としながら、休みの日には駅前に立って、通りすがりの人たちに自分のパフォーマンスを見てもらう。そういう日々を送っていました。生活は充実していたし、舞台に立つ感覚も大好きでした。でも、心のどこかにはいつも不安がありました。

その不安の正体は、お金のことでした。フリーターの給料では毎日が精いっぱいで、本当にやりたいことへの投資なんて考える余裕がなかったのです。実は、僕には大きな夢がありました。世界中を旅しながら、いろいろな場所でパフォーマンスをして回りたい。そういう生活がしたかったのです。でも、その夢を実現させるための資金は、どう考えても足りないままでした。

路上パフォーマーの夢と、現実のギャップ

世界一周なんて、映画や本の中の話だと思っていました。自分には無理だろうなと、どこか諦めた気持ちで毎日を過ごしていました。お金がない、計画を立てるところまで到達できない、そもそもそんなことを言ったら周りに笑われるんじゃないか。そういった不安の中で、やることといったら駅前でのパフォーマンスと、その日食べるための日雇いバイトを繰り返すだけでした。

明るい性格だと周りから言われることが多かった僕でも、心の奥底にはどこか漠然とした不安がありました。人前に立つことは好きで、舞台でのパフォーマンスは本当に楽しかったのですが、それでも生活の安定がないことへの焦燥感は消えませんでした。このままでいいのか、何か変わらないといけないんじゃないか。そんなことばかり考えていました。

知人からの一言が背中を押してくれた

転機が来たのは、知人から一本の電話でした。「お前、出張ホストの仕事やってみないか。お前の明るさなら絶対に向いていると思うんだよ」という言葉でした。正直に言うと、その時は半信半疑でした。夜のお仕事について特別な知識はなかったし、自分がそんな仕事をできるのかという疑問もありました。

でも、知人が言ってくれた「お前の明るさが武器になる」という言葉が、何度も頭の中で繰り返されました。実は、人前に立つことに慣れていたのは僕の大きな強みだったのかもしれません。駅前でパフォーマンスを披露してきた経験は、確実に僕の中に何かを残していました。それなら、試しにやってみてもいいんじゃないか。そう思い始めました。

思い切って応募してみることにしました。新宿での出張ホストの求人を見つけて、迷わずエントリーしたのです。面接では、自分が路上パフォーマーをしていること、人前に立つことが好きなこと、そういったことを正直に話しました。採用担当の方は、僕の話を聞きながら何度もうなずいてくれました。結果として、その場で採用をいただくことができました。

人前に立つ経験が仕事に活きた

働き始めてみると、自分が想像していたよりもずっと自分のペースで仕事ができました。もともと人前に立つことに慣れていたから、初めてお客様とお話しするときも、変に緊張することがありませんでした。駅前でのパフォーマンスと同じように、その時その時の空気を読みながら、相手の方が喜んでくれるような話題や雰囲気を作ることができたのです。

最初の数ヶ月は、右も左もわからないながらも、毎日が新しい発見でした。お客様とのお話の中で、相手の方が何を求めているのか、どんな話が響くのか、少しずつ理解できるようになっていきました。そうしていたら、不思議なことに指名をいただけるようになったのです。最初は月に数件程度でしたが、半年が経つ頃には、かなり定期的にお客様からのご指名をいただけるようになっていました。

稼ぎが生まれた時、夢が現実に変わった

出張ホストの仕事で稼げるようになったことは、僕の人生を大きく変えました。日雇いのフリーターをしていた時代とは比べものにならないほど、生活に余裕が生まれたのです。何が一番嬉しかったかといえば、稼いだお金を自分の夢のために使うことができるようになったということです。

世界一周を実現させるための渡航費用を計画的に貯め始めました。最初は夢のような話だと思っていたことが、数字として貯金通帳に増えていくようになったのです。それと同時に、休みの日に世界中の旅のルートを調べたり、各地でのパフォーマンスのネタを考えたり、そういう時間が何よりの楽しみになっていきました。

駅前でパフォーマンスをしながら、稼いだお金で旅の計画を立てる。そういう生活を送るようになって、本当に毎日が充実するようになりました。「いつか世界を回る」という遠い話ではなく、「あと何年後には実現できるかもしれない」という現実的な目標に変わったのです。

仲間たちからの刺激をもらいながら

出張ホストの職場には、いろいろな目標を持った人たちがいました。誰かは海外留学を目指していたし、誰かは自分のお店を持つために頑張っていました。みんなそれぞれ、今という時間を大切にしながら、未来に向かって着実に歩みを進めていたのです。そういう仲間たちと同じ環境にいることで、僕も自分の夢に対してより真摯に向き合えるようになりました。

新宿という街で、みんなで頑張っているという実感。それは、僕にとって何よりの励みになりました。時には大変なこともありますし、うまくいかない日もあります。でも、周りの仲間たちの頑張る姿を見ていると、自分も前に進まないといけないという気持ちが自然と湧いてきるのです。

夢の実現に向かって、一歩ずつ

今の僕は、世界一周という夢に確実に近づいています。毎月決まった額を渡航費用として貯めながら、路上パフォーマンスの活動も続けています。出張ホストの仕事は、その夢を支えてくれる大切な存在です。かつて不可能だと思っていたことが、今ではやれば実現できるものに変わりました。

フリーターとして日々の生活をなんとかしのいでいた時代から、明確な目標に向かって計画的に動く今という時間。この変化をもたらしてくれたのは、知人からの一言と、出張ホストという仕事との出会いでした。人生って、本当にちょっとした出会いや言葉で変わるんだなと思います。

東京という大きな舞台で、新宿で働きながら、世界中でのパフォーマンスという夢を育てていく。その道の途中にいる今、僕は本当に幸せだと感じています。いつか本当に世界を回る日まで、僕は一歩ずつ着実に歩みを進めていくつもりです。出張ホストという仕事を通じて、僕の人生に現実味が生まれた。それは、何物にも代え難い経験です。

翼 23歳 路上パフォーマー