陸上部の継続力が武器に。ランナーから出張ホストへ、整体師の夢へ

大学の陸上部で長距離を専門にしていたころ、毎朝同じ時間に起床して走るというルーティンが、自分の人生で最も大切なものだと思っていました。継続力なら誰にも負けない。そう確信していた時期もありました。ですが、社会に出てからは、継続力だけでは通用しない場面がたくさんあることに気づきました。新しい環境で、新しい仕事で、自分の当たり前が当たり前ではなくなる経験をして初めて、本当の強さとは何かを学ぶことができたのです。

部活費を稼ぐために探した仕事

大学時代、遠征費や用具代は自分たちで何とかしなければいけませんでした。親の援助もあまり期待できない状況で、時間を使って稼げる仕事を必死に探していたんです。体を動かすことなら得意だから、その体力を活かして高収入を得られる仕事があれば最高だと考えていました。居酒屋のバイトや配送の仕事など、いくつか試しましたが、どれも気が進みませんでした。

そんなときに、求人サイトで出張ホストの募集を見かけたんです。最初は正直、自分にできるのか不安でした。ですが、給料が良くて、シフトの融通が利くという点が魅力的に見えました。なにより体育会系の自分が持っている真っすぐさが活かせる仕事があるかもしれないという期待もありました。新宿の求人でもあったので、応募してみることにしました。

面接での素直さが採用につながった

面接の日、緊張していたというより、むしろ興味津々で面接官の話を聞いていました。この仕事についてどう思うか、なぜ応募したのか、そういった質問に対して、自分は素直に答えるしかできませんでした。体育会系の気質が出たのか、面接官の方は私の受け答えに好印象を持ってくださったようで、その場で採用が決まりました。面接から合格通知まで、あまり時間がかかりませんでした。

採用してくれた上司には、本当に感謝しています。後で聞いた話だと、経験者よりも、正直で素直な人材を求めていたということでした。陸上部で培った、誠実に努力を続ける姿勢が、この業界で思いのほか価値を持つとは思いませんでした。

接客の勝手がわからず、最初は苦労の連続

実際に仕事を始めてみると、想像していたものとは全く別の世界が広がっていました。お客様との距離感の取り方、会話のテンポ、場の雰囲気の作り方——全てが初めてのことばかりで、毎日が修行のようでした。陸上部で養った「頑張れば何とかなる」という単純な発想では、この仕事は成り立たないんだと痛感しました。

同期の先輩たちを見ていると、自然とお客様と話が弾んでいるように見えました。一方、自分は何を話していいのか分からず、ぎこちない雰囲気になってしまうことが多かったです。稼げる時間と稼げない時間の差が大きく、心が折れそうになったこともあります。それでも、ここで諦めてしまっては、陸上部で培った継続力は何だったのか、という思いが自分を突き動かしました。

継続力を武器に、地道な努力を重ねた

ランニングで身につけた「毎日コツコツ積み重ねる」という習慣が、ここで生きました。接客の技術も、お客様との会話の引き出しも、一朝一夕には増えません。毎日、先輩のやり方を観察して、自分なりに工夫を加えて、次の日また工夫を加える。その繰り返しでした。

最初は月に数件の指名しかもらえませんでしたが、3ヶ月経つ頃には、月に20件程度の指名をいただくようになっていました。半年経つ頃には、固定客も増えてきて、稼げる感覚が少しずつつかめるようになったんです。陸上部時代の朝練習と同じ感覚で、毎日の努力が確実に結果につながっていくのを実感できました。

体づくりの知識が仕事の強みに

仕事をしていく中で、思わぬ強みが見えてきました。体のケアに関心を持つお客様との会話が増えていったんです。ランニングのフォームについて聞かれたり、練習方法についてアドバイスを求められたり。陸上部時代の経験が、こんなところで役に立つとは思いませんでした。

自分の体を動かしていた経験をお話しすると、お客様も真剣に聞いてくださいますし、そういう会話の中でリピートにつながることが増えました。体づくりに関する知識や経験が、実は自分の個性になり、差別化の要素になっていたんです。体育会系の自分だからこそ提供できる価値があるんだということに気づいて、自信が少しずつ戻ってきました。

整体師への道と、並行しての仕事

この仕事を通じて、身体と心の関係、リラックスの大切さについて深く考えるようになりました。そして、いつか自分も、人の体をケアする側に回りたいと思うようになったんです。それが、整体師になりたいという夢につながりました。現在は、資格取得のための学校に通いながら、この仕事を続けています。

資格取得と仕事の両立は、正直なところ大変です。学校の授業があったり、資格試験の準備があったり、時間配分が難しい日もあります。ですが、ここで諦めてしまっては、また同じ失敗を繰り返すことになると思うんです。大学時代に毎朝ランニングを続けたのと同じように、朝のランニングだけは欠かさず続けているんです。

継続力こそが自分の一番の武器

毎朝5時に起床して、10キロのランニングをする。その時間は、自分の体調を確認する時間であり、頭をクリアにする時間でもあります。この習慣があるから、日中の仕事も集中できるし、夜の学校の授業も頑張れるんだと思っています。

陸上部時代に養った継続力は、決して失われていません。むしろ、社会に出てからの方が、その価値がより明確に見えてきた気がします。一日一日を積み重ねていく力、小さな成功の積み重ねが大きな目標につながること、そして何より、自分自身を信じ続けることの大切さを、この仕事を通じて改めて学びました。

出張ホストの仕事は、決して簡単ではありません。ですが、正直に向き合い、コツコツと努力を重ねていけば、必ず結果がついてくるという実感を得ることができました。応募を考えている方には、継続力と誠実さがあれば、この環境で自分の夢を着実に進めていくことができると思います。

翔太 23歳 陸上部出身