大学2年生の秋、僕は求人サイトをスクロールしながら、ため息をついていました。毎日サークル活動とバイトで忙しいはずなのに、学費と交際費を合わせるとお金が足りない。今のバイト代では正直、心もとなかったんです。もっと稼げる仕事はないかと、夜中までスマホを眺める日々が続いていました。
目に留まった出張ホストの募集
そんなときに目に入ってきたのが、出張ホストのキャスト募集でした。新宿を中心に活動するこの仕事は、写真面接だけで応募できる手軽さに惹かれました。正直なところ、ホストという仕事について知識がほとんどなかったんですが、「高額」「稼げる」というキーワードが目に飛び込んできて、これなら大学との両立もできるんじゃないかと思い始めたんです。迷わずエントリーボタンを押してしまいました。
面接では、自分の明るい性格と人懐っこさが評価されたようで、予想外の速さで採用が決まってしまいました。右も左もわからないまま、研修を受けることになったんです。最初は緊張で言葉が出てこないこともありました。お客様の前に出ると、心臓がバクバク鳴って、何を話せばいいのかわからなくなってしまったんです。
趣味の釣りが仕事に活きた瞬間
そんな自分を救ってくれたのが、趣味の釣りで培った経験でした。釣りって、簡単には成果が出ないんです。何時間も川に立って、やっと一匹釣れるかどうか。その中で学んだのは、焦らないことの大切さです。魚がかかるまで気長に待つ。その忍耐強さを思い出して、お客様と接するときも焦らず、相手の話に耳を傾けることを心がけるようにしました。
すると、ある日釣り好きのお客様が来てくれたんです。その方と釣りの話で意気投合して、時間を忘れて語り合ってしまいました。当時の自分にとって、お客様とそこまで深い話ができたのは初めてのことでした。その夜が終わったとき、その方から指名をもらえたんです。自分でも驚くほど嬉しくて、帰りの新宿の夜道を歩きながら、ずっと笑顔が止まりませんでした。
指名が増えて見えてきた将来
あの初指名がきっかけで、少しずつ指名が増えていきました。お客様との接し方のコツがつかめてきたのと、サークル仲間にも応募を勧めたりしていたら、職場での評判も良くなっていったんです。半年ほどで安定した収入を得られるようになって、大学の授業とも無理なく両立できるペースがつかめてきました。
実は、この仕事を始めたときから頭の片隅にあった目標がありました。将来は不動産会社への就職を目指しているんです。東京の経済を支える不動産の世界で働きたいという想いが、バイト代だけでは届かない夢だったから、もっと稼げる仕事を探していたという側面もありました。
出張ホストで稼いだお金を元手に、宅建の勉強も始めています。テキストを開くときに、「これは自分が選んだ仕事で稼いだお金なんだ」という実感が、勉強のモチベーションになっています。試験まであと数ヶ月。焦らず、釣りで学んだ忍耐強さを保ちながら、この目標へ進んでいこうと思っています。
職場の仲間から刺激をもらう日々
職場で一緒に働いている人たちを見ていると、皆さん何かしら将来の目標に向かって頑張っている方ばかりなんです。プロのダンサーを目指している人、起業を視野に入れている人、海外留学の資金を貯めている人。そういった仲間たちと同じ場所で働いていると、自分も頑張らないといけないなという気持ちが自然と湧いてきます。
職場の先輩たちにも恵まれていて、困ったことがあるとすぐに相談に乗ってくれます。不安なことがあると「釣りだって最初は上手くいかないじゃん。それと一緒」と励ましてくれた先輩の言葉は、今でも心に残っています。こういう環境にいられることが、本当にありがたいなと感じています。
大学でのサークル活動も充実していますし、バイトも楽しい。こうして両立できているのは、自分に合った仕事が見つかったからなんだと思います。出張ホストという仕事は、単なるお金を稼ぐ手段ではなく、自分の成長を助けてくれる環境になっているんです。
不動産会社への就職まで、あと数年。その間も、この仕事で経験を積み重ねながら、お客様との関わりの中で人間的な成長も続けていきたいと思っています。焦らず、丁寧に、一歩一歩進んでいく。釣りで学んだあの忍耐強さを大事にしながら、将来への道を歩んでいきます。
健太 22歳 大学生

