特にやりたいことも決まっていないまま、毎日のバイトをこなすだけの日々を過ごしていた自分。生活をしているわけではなく、ただ時間が過ぎるのを待っているような感覚で、いつも漠然とした不安を抱えていました。給料日が来ても、すぐに使い果たしてしまうし、将来のことを考えると頭が重くなる。そんな状態が続いていました。
そんなときの唯一の息抜きがアニメでした。新作の配信を追いかけては、その世界に没入する時間が本当に大事でした。現実から逃げられるし、好きなキャラクターたちの成長に共感できるし、その時間だけは何も悩まなくて済みました。でも画面を切ると、また現実に戻ってきてしまう。その繰り返しでした。
動画で見つけた出張ホストという選択肢
転機は、何気なく見ていた動画の中からやってきました。出張ホストという仕事の紹介動画を見かけて、興味本位で視聴してみたんです。その時点では「へえ、こういう仕事もあるんだ」くらいの軽い気持ちでした。でも、説明を聞いているうちに、働く人たちがみんな楽しそうに見えたんです。難しく考えずに、なんとなく面白そうだという気持ちだけで応募してみることにしました。
応募してから面接を受けたときのことをよく覚えています。担当者の方に「まずは気楽にやってみたら」と言われたことが後押しになって、そのまま働き始めることになりました。本当にシンプルな言葉だったんですが、それが自分の背中をそっと押してくれた感じがしました。自分にはこの「気楽に」という言葉が必要だったんだと思います。
接客未経験だからこそ、新しい自分を発見できた
働き始めの頃は、正直言うと大変でした。接客の経験がまったくないから、お客様との会話をどうして良いのか分からないことばかり。無言の時間が怖くて、何か話さなきゃと焦る。そういう状態が続きました。ただ空気を重くしてしまうだけで、自分は役に立っていないんじゃないか。そんなネガティブな気持ちも何度もありました。
でも、あるとき転機が来ました。たまたまお客様がアニメについて話しかけてくれたんです。それまで、自分の趣味なんて誰かの役に立つと思ったことはありませんでした。むしろ、大人になってもアニメを好きでいることが何となく恥ずかしいくらいに思っていたんです。でも、そのお客様は僕の話に一生懸命耳を傾けてくれて、一緒に盛り上がってくれました。その瞬間、自分の好きなことが武器になる場面があるんだ。自分の一部が誰かを喜ばせることができるんだ。そういう気づきが生まれました。
好きなことを堂々と話すようになって
あの経験があってから、僕は変わりました。それまで隠していたアニメの話を、堂々とするようになったんです。新しい作品の話だったり、推しキャラの話だったり、そういったことを素直に話すようにしました。すると、共通の話題で笑い合えるお客様が増え始めたんです。当たり前ですが、自分が心から好きなことを話しているときは、言葉にも気持ちにも自然と温かみが出るんだということに気づきました。
それからは、少しずつ自分らしい接客の形が見えてきました。無理に話を合わせたり、誰かのマネをしたりするのではなくて、自分が何をおもしろいと思うのか、何に心が動くのか。そういったもが仕事の中で活きるんだ。新宿でこうして働くようになって、初めてそのことに気づくことができました。
仲間との出会いが自分を前に進める力をくれた
職場で一緒に働くキャストたちを見ていると、みんな何かしらの目標に向かって頑張っている人ばかりです。その人たちの話を聞いていると、すごく刺激を受けます。自分はまだ将来の夢が決まっていないんですが、こうして目標を持ちながら今をしっかり生きている人たちと同じ場所にいることで、自分も頑張らないといけないなという気持ちが自然と湧いてきます。
以前の自分は、毎日を流れに任せるままに過ごしていました。その日が終わればいい、そのくらいの気持ちでした。でも今は違います。この仕事を通じて、自分に自信を持てるようになってきたんです。それまで隠していた部分が、実は誰かを喜ばせることができる。そういう小さな経験が積み重なることで、少しずつ前に進もうという気持ちが生まれました。
これからの自分に向けて
出張ホストという仕事を始めてから、自分は本当に変わりました。始めたころは、ただお金が稼げたら良いくらいの気持ちだったんですが、今はそれ以上のものがここにあると感じています。自分の好きなことが人を喜ばせることができるという気づき。目標を持って生きている仲間たちとの出会い。そして、何より自分に自信が持てるようになったこと。
将来の夢はまだこれから探していくつもりです。でも、その道の中でどんな目標が見つかるにしても、ここで得た経験と自信は絶対に活きてくると思っています。この仕事の中で、自分は少しずつ成長させてもらっているんだと感じます。
ハルト 21歳 フリーター

