父に連れられたバーが人生を変えた夜
自分がバーテンダーを目指すようになったのは、20歳のときに父親に連れて行ってもらったバーがきっかけでした。薄暗い照明の中でシェイカーを振るバーテンダーの姿がかっこよくて、カウンター越しに丁寧に話しかけてくれる接客の雰囲気にすっかり魅了されました。あの夜から、自分もこういう場所で働きたいという気持ちが頭から離れなくなりました。専門学校卒業前に父に相談したところ、たまたま父の友人の親戚の方がバーを経営していて、そのツテで新宿のバーに見習いとして入れてもらえることになりました。
今もその店で修行中の毎日ですが、仕事自体は本当に楽しいです。お酒の知識やシェイカーの技術など、覚えることは山ほどありますが、それが苦にならないくらいこの仕事が好きです。ただ、見習いという立場だとどうしても給料が安いのが現実で、生活費を考えると少し余裕がほしいというのが正直なところでした。休みも週一程度で不定休なため、がっつりシフトを入れるような掛け持ちバイトは難しく、空いたタイミングにスポットで入れる仕事を探していました。
体を使う仕事では続かないと気づいた
しばらくは日雇いのバイトで補っていたんですが、これがなかなか大変でした。体を使う現場系の仕事や夜勤のバイトは、バーの仕事との体力的なバランスが難しくて、疲労が抜けないまま本業に入ることも多くなっていました。生活リズムも乱れがちになって、これは長続きしないなとすぐに感じました。もともと接客が好きなので、ナイトワーク系の仕事なら自分のスタイルに合うんじゃないかと思い、夜職を中心に求人を探し始めました。
そこで求人サイトで見つけたのが出張ホストのキャスト募集でした。給料が良くて、週1ペースでも無理なく働けそうな点が自分の状況にぴったりだと思い、迷わず応募しました。面接では接客経験があることが好印象だったようで、無事に採用してもらえました。今は週1くらいのペースでバーの仕事と掛け持ちしながら働いています。接客の仕事は好きなので、キャストとしての仕事も自分に合っていると感じることが多く、思っていた以上にうまくやれています。
常連客との偶然の再会で気づいた接客の本質
出張ホストを始めてしばらく経った頃、少し驚くような出来事がありました。自分が修行しているバーに、出張ホストでお世話になっている常連のお客様が偶然いらっしゃったんです。内心かなりびっくりしたんですが、そのお客様は初めてお会いするかのように自然に振る舞ってくださいました。わざわざ気を遣っていただいたんだとわかって、そのさりげない配慮がとても嬉しかったです。
あの瞬間に、誠実に接していればお客様はちゃんと見てくれているんだということを改めて実感しました。接客業って、技術や愛想だけじゃなくて、誠実さが一番大事なんだなと感じた出来事でした。バーテンダーとしても、キャストとしても、この気持ちを忘れずにいたいと思っています。
夢に向かう仲間たちに刺激をもらいながら
出張ホストの職場で一緒に働いている人たちを見ていると、みんな何かしら将来の目標に向かって頑張っている人が多くて、自分にとってとても刺激になっています。夢を持ちながら今をしっかり生きている人たちと同じ場所にいると、自分も頑張らないといけないなという気持ちが自然と湧いてきます。バーテンダーの修行もまだまだこれからで、一人前になるには時間もかかるし越えなければいけない壁もたくさんあります。それでも、あの夜父に連れて行ってもらったバーで感じたワクワクを忘れずに、お客様に愛されるバーテンダーになれるよう、これからも一歩一歩進んでいきたいと思っています。出張ホストの仕事も、その夢を支えてくれる大切な存在です。
蓮 21歳 バーテンダー見習い

