部下の裏切りと横領を乗り越え出張ホストに出戻った25歳の経営者

出張ホストから始まった起業への道

自分が出張ホストとして働き始めたのは、まだ20代前半の頃でした。当時は正直、深く考えていたわけでもなく、とにかくお金を稼がないといけないという気持ちが先に立っていました。接客の仕事なので最初はうまくいかないこともありましたが、続けていくうちにお客様との会話の中で相手が何を求めているかが少しずつわかるようになっていきました。そうやって働きながらコツコツ貯めたお金が、いつしか「自分で何かやってみたい」という気持ちに変わっていきました。

もともと服が好きだったので、アパレルで独立しようと決めました。最初はECサイトで小さく始めて、売上が安定してきたタイミングで実店舗を出しました。我ながらうまくいっていると思っていたし、出張ホスト時代に貯めたお金がここまで繋がったんだなと感慨深い気持ちもありました。

信頼していた部下が消えた朝

店が落ち着いてきた頃、次のステップとして2店舗目の開業を考えるようになりました。そのための資金もある程度準備できていて、自分の中では具体的な話が進んでいる段階でした。ECサイトの運営と経理を任せていた部下のことは、わりと信頼していました。細かいことまで口を出さずに任せていたし、自分なりにちゃんと育てているつもりでした。

でもある日突然、その部下と連絡がつかなくなりました。確認してみると、2店舗目の開業資金がそっくりなくなっていました。最初は何が起きたのか状況が飲み込めなくて、しばらく呆然としていました。怒りとか悲しみとかよりも、ただただ頭が真っ白になった感じです。どうしようという気持ちで数日間はほとんど何も手につきませんでした。

頭を下げて出戻りをお願いした日

落ち着いてから穴埋めの方法をいろいろ考えましたが、一番現実的だと思ったのが、以前お世話になっていた出張ホストの店に戻ることでした。自分のことを知ってくれている場所だし、正直に話せばわかってもらえるかもしれないという気持ちもありました。マネージャーに連絡して事情を話したところ、思っていたよりすんなり受け入れてもらえました。

さすがに気まずさはありましたし、出戻りというのは正直プライドが傷つく部分もありました。ただそれよりも、また拾ってもらえたことへの安堵感のほうが大きかったです。本当に助かりました。

あの裏切りは自分が蒔いた種だった

しばらくして、当時一緒に働いていたアルバイトのスタッフから話を聞きました。逃げた部下は普段から自分の悪口をよく言っていたそうです。それを聞いてまず思ったのは、怒りよりも「そうか、そういう雰囲気になっていたんだな」という気持ちでした。今振り返ると、しっかり育てたいという思いが強すぎて、必要以上に厳しく当たっていた場面が多かったと思います。周りの経営者仲間がうまくいっているのを見て、自分も焦っていたんだと思います。

その部下も、実はホストに入れあげて借金まみれになっていたらしいです。それが横領の動機だったのかもしれません。もちろんやったことは許されないとは思いますが、追い詰められるような状況を作っていた自分にも問題があったと感じています。人を見る目がなかったし、育て方も間違っていました。今はもう恨んでいません。

この経験をバネに再び前へ進む

出張ホストへの出戻りは、自分の中ではみっともないことだとは思っていません。むしろ、ちょっと天狗になっていた自分がリセットされた感じがしています。また現場でお客様と向き合う中で、人と関わることの難しさや大切さを改めて実感しています。次に人を雇うときは、仕事の能力だけじゃなくて、普段の言動とか周りとの関係性とかをもっとちゃんと見ようと思っています。

スタッフに対して自分の焦りをそのままぶつけていたのも、反省しないといけないところです。再雇用してくれたマネージャーには本当に感謝しています。今は目の前のことを一つひとつこなしながら、また店を立て直すための準備を進めています。あの出来事があったからこそ、自分は少しだけ強くなれた気がしています。