歌舞伎町でくすぶっていた僕が出張ホストと出会い仲間の自立支援を目指すまでの話

歌舞伎町が居場所だったあのころの話

うちの家庭は、ずっとぐちゃぐちゃでした。親がいわゆるネグレクトで、ごはんがない日も普通にあったし、家に帰っても誰もいないことが当たり前でした。17歳くらいのころから、似たような境遇の仲間を探して歌舞伎町に出るようになりました。そこで知り合った連中と一緒にいることが、当時の僕には一番の救いだったんです。

でも同時に、「このままここにいたら人生終わるな」という不安もずっとありました。仲間のことは大好きだし、居心地もいい。でも、このままでいいわけがないっていう気持ちも消えなくて。なんとか高校だけは卒業して、日雇いのバイトをして食いつないでいましたが、それで生活がよくなるわけもなく、毎日ぼんやりと不安を抱えていました。

バーで声をかけてもらったあの夜のこと

転機が来たのは、友達と飲みに行ったバーでした。そこで出張ホストのスタッフさんと知り合って、「仕事探してるならうちで働いてみない?」と声をかけてもらったんです。最初は「そんなうまい話あるの?」と半信半疑でしたが、話を聞いてみたら思っていたよりずっとちゃんとした仕事で、興味が湧いてきました。

後日、面接を受けに行ったんですが、担当の方がすごく優しくて、これまでの事情とかを話しているうちに、気づいたら涙が出ていました。自分でもびっくりしました。だれかにちゃんと話を聞いてもらったのが、久しぶりすぎたのかもしれません。無料で入れる寮があると聞いて、とにかく家から出たかった僕はすぐに「お願いします」と答えました。こうして新宿での生活がはじまりました。

仕事を覚えるのに三週間かかってしまった

入店してからが、また大変でした。接客なんてまったくやったことがないし、何をどうすればいいのかさっぱりわからなくて。スタッフさんに丁寧に教えてもらっても、なかなか身につかなくて、何度も同じことを聞いてしまったり、場の空気を読めなくてお客さまに変な空気にさせてしまったりと、迷惑をかけてばかりでした。

それでも見捨てずに指導してくれたスタッフさんには本当に感謝しています。三週間後にようやく初めてのご指名をいただいたときは、めちゃくちゃ嬉しかったです。そこからは少しずつ自信がついてきて、リピートしてくださるお客さまも増えていきました。稼げるようになってきて、入店3ヶ月後には大久保で一人暮らしを始めることができました。あの日雇い生活がなんだったんだってくらい、生活が変わりました。

お客様との出会いが新しい扉を開いてくれた

仕事をしていると、いろんなお客さまと話す機会があります。その中で、FXでしっかり稼いでいるお客さまと仲良くなって、投資のセミナーを紹介してもらいました。最初は「難しそうだし自分には無理かな」と思っていたんですが、せっかくだからと受けてみたら意外と面白くて、少しずつ自分でも投資を始めています。まだまだ勉強中ですが、お金の使い方とか増やし方とか、考えるのが楽しくなってきました。

それと、稼いだお金の一部を、トー横でくすぶっている子たちへの支援活動にあてるようにもなりました。自分がそっち側にいたので、何かしてあげたいという気持ちがあって。すでに2人ほど、キャストとして、また黒服として採用してもらえるよう紹介して、生活を立て直す手伝いができています。これが思いのほか嬉しくて、「次は誰かまずい状況の子がいないかな」ってアンテナを張るようになってきました。

将来はNPO法人を立ち上げたいと思っている

将来の夢みたいなものができました。NPO法人を立ち上げて、歌舞伎町やトー横で行き場をなくしている子たちの自立支援ができる活動をしていきたいんです。自分自身が同じ場所にいたから、どんな言葉が刺さるかとか、どうされると嬉しいかとか、なんとなくわかる気がするんです。偉そうなことを言える立場じゃないですが、それが少しは強みになるかなって思っています。

あのバーでスタッフさんに声をかけてもらわなかったら、今でも日雇いをしながら不安な毎日を送っていたと思います。ちょっとした出会いって、本当に人生を変えるんだなと実感しています。今はとにかく仕事を頑張りながら、いつかその夢を形にできるよう、少しずつ準備していくつもりです。

龍星 20歳 出張ホスト