資金を盗まれ居酒屋を閉店…出張ホストのバイトに出戻りした元会社社長

料理人を目指して始めた副業

25歳の元会社社長です。10代のころは、将来、自分のお店を持つことを夢見て、料理専門学校に通っていました。毎日包丁を握って、食材と向き合う時間がとても楽しくて、夢に向かって一歩ずつ進んでいる実感がありました。

そんなある日、友達から「出張ホストのバイト、やってみない?」と声をかけられました。最初はちょっと驚いたけど、接客の経験にもなるし、何より収入が安定しているという話を聞いて、思い切って始めてみることにしたんです。

実際にやってみると、お客様との会話や気配りなど、料理とはまた違ったスキルが求められて、すごく勉強になりました。ありがたいことに指名も増えて、学費や生活費もまかなえるようになり、気持ちにも余裕が出てきました。

居酒屋修行と夢の独立開業

専門学校を卒業した後は、居酒屋で3年間修行をしました。毎日が本当に濃くて、仕込みから接客まで、現場でしか学べないことばかり。厳しい環境だったけど、料理人として成長できた時間だったと思います。

そして、出張ホストのバイトで貯めた資金を元に、念願だった自分のお店をオープンすることができました。24歳で会社の社長になった僕は、毎日が楽しくて仕方なかったです。常連さんにも恵まれて、経営も順調。夢が現実になった瞬間でした。

突然の裏切りと人生の転落

でも、そんな順風満帆な日々は長くは続きませんでした。信頼していた年上のマネージャーが、会社の資金をすべて持ち逃げしてしまったんです。連絡も取れず、警察にも相談したけど、結局行方はわからないまま。

残された自己資金でなんとかやりくりしたけど、資金繰りはどんどん厳しくなって、ついには閉店することになりました。婚約していた彼女とも、金銭的な問題が原因で別れることに。まさに「金の切れ目が縁の切れ目」ってこういうことなんだなって、痛感しました。

原点に戻り再び立ち上がる

それでも、僕は諦めたくなかった。もう一度原点に戻ろうと思って、かつてのマネージャーにお願いして、出張ホストの仕事に復帰させてもらいました。週に4〜5回働いて、少しずつ生活を立て直していきました。

ありがたいことに、以前の常連さんがまた指名してくれたり、励ましの言葉をかけてくれたりして、人の温かさに触れることができました。社員に裏切られたのは、僕自身にも原因があったと思います。パワハラっぽい言動があったのかもしれないし、恨まれて当然だったのかも。バチが当たったんだなって、今では思います。

未来への準備と新たな挑戦

資金援助を申し出てくれるお客様もいたけど、それでは甘えてしまって、自分を変えることができないと思って、お断りしました。今は、ふぐ取扱責任者と栄養士の資格取得に向けて勉強中です。再びお店を開くために、今できることを全力で頑張っています。

入店から一か月、ようやく生活に余裕が出てきて、少しずつどん底から這い上がることができました。この仕事に感謝しながら、2年以内には新しいお店を再開したいと思っています。死に物狂いで頑張って、今度こそ、誰にも負けないお店を作りたいです。

健斗 25歳 元会社社長