自営の焼肉屋を立て直すために出張ホストの掛け持ちバイトを開始

実家のお店を助けるために始めました

地元は千葉の方で東京にもまだ近いところで、僕の家は焼肉屋をやっています。子どもの頃から仕事を手伝っていたので、なんとなく、このお店も自分が継ぐことになるのかなと考えていました。しかしコロナ前からどうにも経営が思わしくなくなり、親から「ちょっと将来のことはわからない」と打ち明けられてしまいました。

しかし地元の方々にも、自分で言うのも何ですが、まあ愛されているお店です。それがちょっとした経営困難や資金繰りの悪化で閉店なんていうのも情けないし、申し訳ない気がして、「俺にできることなら何でもやるよ」と東京で高額バイトでもしてとにかく実家にお金を入れることにしました。それは自分の将来を担保することでもあります。

そんなこんなでお金がたくさん渦巻いていそうな新宿あたりで高収入のバイトを探しました。求人募集で発見したのでなく、結果的に、そういう僕の状況を知った友達が、「俺、東京でデリバリーホストをやっていたんだよ」と教えてくれたんです。そんな半分紹介みたいなかたちで入店させてもらうことになりました。

根の部分でハートが強いのは自慢です

体育大のアメフト部出身で根性だけはあります。負けん気がこの仕事に関して必ずしも通用するとは思いませんが、やっぱり根の部分でそういう精神面は大事な気がします。僕に関しては家計がかかっているので、本気にならないと勝てないという決心すらあります。

掛け持ちで働き始めて体力的な苦痛はそんなに感じませんでした。精神的な部分でも、最初「水商売ってどうなんだろう」と思っていたのが嘘みたいに気楽なものです。ただこのお店で働く多くのキャストが言うように、単純にラクな労働というわけではありません。多少難しいところだってあります。

お客様との相性の部分で僕はハードルを感じるところが多いです。厳しい上下関係とか実家が焼肉屋というようなタフな環境で育ってきたので、なんというかナイーブな接客は得意ではないんです。ただ、逆にいえばそういう「しっかりとした感じ」を求められるお客様には満足度も高い時間を提供できていると思います。

お店の連帯感もとても良いです

実際そんな摩擦は多少ありましたが初日から指名がついて稼げているのは確かです。スタートしたばかりの頃はガタイのよさがウケていました。今では僕の芯の通った(と自分で言うのも何ですが)内面まで見てくれて「いいね」とリピート指名してくださる方が多いです。

お店の待遇や雰囲気も快いものです。とても嬉しいのは、出張ホストの仲間が自分の焼肉屋までちょっと顔をのぞかせて、お金を使ってくれることで、もちろんそういうときにはちょっとしたサービスも足しています。お客様も来店してくださり、「いい感じのお店じゃん」と言ってもらえると嬉しいです。

なんとかここの稼ぎを家計にあてることで、焼肉屋の経営も今まで通り続けていけそうです。ただちょっとでも気を抜くと、掛け持ちでなんとかというレベルだし、今はこのような社会情勢ですし危ないので、そこは油断せず引き締めてやっていこうと思います。

到(仮名) 23歳 焼肉屋長男