浮気で何もかもなくしました
こんな暗い話から始めるのも何ですが、みんな正直に語っているようなので僕もそうします。僕は二十歳でデキ婚して、すぐに離婚しました。落ち度は全面的に僕にあって、理由は浮気です。しかも職場での相手で泥沼でした。
たった2年の結婚生活でしたがもう早い段階から冷めていたので、相手も僕の浮気の事実をうまく有利な言い分にして、慰謝料払え離婚だという一方的なシナリオで来ました。しかし全面的にこちらが悪いので仕方ありません。ただ、職場内不倫で、会社もクビになってしまうことは予想外でした。
家庭も職も失くして、22歳にして一気に老け込んだような気分でした。本当に家もすぐに追い出されて、ほとんど無一文に近い状態です。とりあえず慰謝料云々よりも当面自分が住む場所が大事だと寮付きのバイトを探しました。そしてたまたま見つけたのが新宿の出張ホストの高額バイトでした。即応募です。
入寮からスタートまでスムーズ 仕事の方は…
求人募集にほぼ何も考えずにアタックして、面接のときに少し落ち着いて自分の境遇を相談したところ、すごく親身に話を聞いていただけたと思います。寮の手配もすぐにしてくださって、確か自分でネカフェに寝泊りしたのは二日くらいでした。入寮、そして仕事のスタートまでスムーズで、本当にさっきまで絶望の淵にいた自分が「あれ?」という感じで救いの道のほうへ進んでいっている感じがしたものです。
仕事は無我夢中というかとにかく本気でやりました。こちらも現実的に人生がかかっている状態なので手を抜くとかそういうことは考えられません。ただそういうハングリーな姿勢は決してお客様にとって快いものでなかったようで、最初は空回り状態が続きました。
そのときでも稼げてはいましたが、自分の中で悩みはありました。連続して指名していただけることも少なかったですし、このまま続けられるのかなと不安で…。すると、「もう少し適当な感じでいい。お客様が求めているのは特に今は静かな癒しとか労わりだから」とマネージャーにアドバイスされて、スタイルを変えたところ、お客様の反応も変わりました。
地に足がついて今は求職活動も進めています
接客を見直して、どちらかといえばテンションを抑えてお客様に接するようになってからは、お相手するときもこちらからではなくお客様から「あのね…」と話をされるようになりました。そうなるとあとは聞き役に徹するだけです。それでお客様も満足されるんです。応募したときやスタート時の焦りのようなものも今はありません。
出張ホストというからには、自分から何かしなければいけないと考えている方がいるとしたら、どうやらそれは必ずしも正解ではないようです。もちろん人によって方法は異なるでしょうが、自分のキャラをお客様の雰囲気をうまく合わせることがこの仕事の基本だと僕は思っています。
やっと地に足がついてきた思いです。今では寮を出ることもできました。もちろん現実にはまだ慰謝料という大問題が残っているわけですが、その支払いの第一歩を進むためにも今は求職活動中です。このバイトでどれだけの高収入が得られるかも知ったので、就職できてもダブルワークする予定です。
礼(仮名) 23歳 求職活動中