地元の飲食店廃業で失職…幼馴染の紹介で出張ホストにチャレンジ!

途方に暮れる日々の中で

僕は高校を卒業してから、地方で叔父がやっていた飲食店で働いていました。ちゃんと厨房にも入って、もちろん接客から何からして、若いけれど事実上店長みたいな感じだったと思います。けれど、跡継ぎのことに関しては結局はっきりしたことは聞けないまま、叔父が亡くなってしまいました。

もしかすると叔父は、こんな地方の飲食店では、将来はないと思っていたのかもしれません。僕は生まれてからほとんど地元を出たこともなく、小さな世界で育ってきたので、あるいは叔父は自分の死んだ後は、僕にはもっといろんな世界を見てこいと言いたかったのかな。

借りていた店舗も建物の取り壊しが決定して、閉店となりました。そうなると、僕は途端に職なしです。地元の情報ではなかなかいい求人募集も見当たらず、いきなり途方に暮れるような気分でした。これ以外の仕事をやったことがないので、次に何をすればいいのか、わからないんです。唯一、ちょっと何かあり得そうだったのが、地元の幼馴染で東京に出ている友達。彼にツテがないか、素直に聞いてみました。

マネージャーを紹介されて入ってきました

その幼馴染の友人が、こちらのマネージャーで、「じゃあうちのお店で」という展開になったのは、なんだか話がトントンと進みすぎて驚くほどでした。自分も実家から必要最低限くらいの荷物を持って上京。安い家を借りて、とりあえず彼の紹介(というかマネージャーのご厚意)で出張ホストを始めることに。

しかしまあ、何事もチャレンジだ、と思いましたね。若干戸惑う気持ちもありましたが、自分みたいな地方民が東京に出てきて何かにチャレンジする機会なんて、そうそう恵まれるもんじゃない。だからひとまず、慣れないことでもやってみるしかないだろう、と、前向きな気持ちにさせてくれるものが、はじめて見る東京の大都会の眺めには自然にありました。

そうはいってもまったく経験がないような仕事なので、スタート時にはずいぶんとつっかえるような部分もありました(笑)お客様が洗練された方ばかりというのもあるし、お店の雰囲気にも正直ビビっていましたね…。でもなんとか、そういう最初の難しいところもなんとか乗り切りました。

料理を振舞う仕事がきっかけとなって…

自分に自信がついたのは、とあるお客様のリクエストで、ご自宅に出張して料理を振舞うことになって、です。料理に関してはもう自分もいろいろとやってきたので、手馴れたものです。いくら洗練されたゴージャスなお客様も料理が苦手で、以外にキッチン周りにはお金を使ってらっしゃらなかったりするので、なんだか苦笑するような…。

そうして作った料理が「おいしい!」「すごい」とお客様伝てに評判となって、今では出勤料理の仕事が増えています。東京に高額バイトはたくさんあるでしょうが、まさかこんな形で自分が高収入をもらえることになるとは…想像もしないようなことが実際に起きるものです。

廃業した地元のお店には未練もありますが、過去のことをいつまでも考えていても仕方ありません。今は東京で生きていける自信もついてきたので、将来のことをイメージするようにしています。そのうち宅配専門の中華料理店でもできたら、と思っています。それが今の目標です。

伶(仮名) 23歳 フリーター