無料の寮が頼りになりました
僕は群馬が地元で、まあちょっとしたコンプレックスがありました。どうですか、群馬のイメージって。パッとしない感じしないですか? せっかく同じ関東なら、東京に出てみたい。というか、高校を卒業したら出る、という気持ちはもちながらダラダラやっていました。
ですが僕も20歳になって、そろそろ本気で決心しないと腰が上げられなくなると思ったんです。が、そのときちょうど手元に金がなくて…どうしようと悩みながら、求人募集を見ていたら、出張ホストで無料の寮つきの求人がある。これしかない、とすぐに応募しました。
東京の生活に憧れながら、金とか自分の怠け心でずーっと保留していたら、踏み出せないまま地元で枯れていったのかもしれません。そう思うと、いいタイミングで決断して、しかもうまい具合にお店の待遇が味方してくれたものです。これもひとつの運でしょうね。
初日からいいスタートが切れました
さて、面接とか終えて働き始めることが決まると、いきなり入寮です。寮の雰囲気はもう出てしまって久しいし(実はすでに1年半くらいやっています)、早い段階で出たのであんまりどんな感じだったか具体的に思い出せないですが、まあいわばごく普通で、暮らしやすいものでした。けど何のツテもない自分が東京の生活の拠点を確保できた安心感は強かったし、高収入というポイント以外に、寮は嬉しかった部分です。
そして働き始めたわけですが、僕の場合は最初からつっかえたりすることもなく、いいスタートが切れました。初日から結構指名をもらえたし、それも連続したりして、つまりは気に入られたんですね。どうやら群馬訛りがかわいい、とお客様のあいだで当時評判だったとか。
確か三ヶ月目で寮を出て、今の住まいに移ってきました。群馬の自分の部屋から考えるとかなり垢抜けましたね(笑)ちょっと以前の自分にこんな生活があるんだぞと知らせてやったら驚くと思います。憧れを持って東京に出てきて、今の自分の一人暮らしの瀟洒な賃貸物件に辿りついた瞬間には、達成感がありました。
田舎のいいところにも気付く日々
入寮してからはや1年半もこちらにいると、東京の生活には慣れてきました。群馬訛りだって多少は抜けたんじゃないかな。でも、どっちかというと、最近は地元って良かったんだな、と感じることの方が多くなっています。なんというか、僕、都会にいても、特に何がやりたいという欲がないんです。
田舎の良さに気付いた、という感じでしょうか。幸せの青い鳥ではないですが、近いところに自分の幸福というものはあるのかもしれません。ということで今考えているのが、しばらくはまあこっちでやれる限り稼ごう。その後は群馬に戻って、何か地元に還元できるビジネスができたら、という展望です。
言ってみたらバイトひとつでこれだけ変われたわけで、なんか殻に閉じこもったり、最初から与えられた境遇みたいなものの中にいたら、何も気付かないままつまらない大人になってしまうんだろうな、と思います。群馬から出てきてここで勉強できてよかったです。
仁一(仮名) 21歳 フリーター