応募した理由はまさかの失恋です
僕がこの仕事をスタートして半年になります。求人募集を見たときには、高収入とかそういう面ではなく、なんだか出張ホストという職が自分を変えてくれるのではないかとそう思って応募しました。とにかくなんでもいい、何かきっかけみたいなものに飢えていて。
というのも失恋して、それにすごく落ち込んでいたんです。もう何を考えることもできないような状況と言いますか、本当に初めての彼女で美人だったので、ああもう本当にどうしようみたいな。しかも、別れ方がよくなくて。それは後からわかったんですが…別の男にとられるみたいに別れたんですよね。そんなこと、本当は知りたくなかったくらいですけど。
そういう理由があってなんか無茶なことでもすれば多少こういういじけた気持ちでも抜け出せるかなと、よく考えればこういうちょっと変わった接客業という、自分にとっては挑戦的な仕事を選んだものです。でも結果的にそれが良い方向に流れているので、この選択は間違いではありませんでした。
仕事を通して自分磨き
こういう仕事ですから、清潔感とか、最低限以上の身だしなみ、そういうのも求められます。これまであまりそのへんには無頓着だった自分にとって、なかなかハードルが高い面もありましたが、仲良くなったおしゃれなキャストから全身プロデュースしてもらって、自分でもオッと思うくらい、外見は垢抜けました。
あとは肝心の接客なのですが、これもなんというかお店が配慮してくれているのかもしれないのですが、僕には僕向きの、どちらかといえば物静かなお客様が指名してくれるんですよね。そういうわけで、仕事の方でも空騒ぎして無理することなく、基本は穏やかな感じでちゃんと相槌を打つ、というスタイルで、なんとかひとつずつお仕事をこなせています。
今思うと、相手の気持ちをもっと分かろうとしなければならなかったんだろうな、と感じます。そういう勉強ができただけでも、本当に大きな収穫です。そして仕事でそれを実践しながら、これも自分磨きになっていると痛感します。事実、先日久しぶりに大学時代の友人に会ったら、「なんか雰囲気めっちゃ変わったな」と言われて、やっぱり嬉しかったです。
僕を振ったことを後悔させてやる!
見返したい、なんていうと執念深いようですが、事実、そういう気持ちもありました。でも今はまあどうでもいいです。失恋のキズも、この仕事を始めてから、ほとんど癒されましたね。応募当時にはあまり意識していませんでしたが、稼げるし、お金で埋まる寂しさというのもあるんですよね、ある程度は。
これから長い人生ですし、まさか恋愛もこの一回きりじゃないでしょうから、今後の自分磨きのためにしばらくこのお店で厄介になりながら、やっていこうと思います。いつまで続くかわかりませんが、逆にいえば、辞め時というのも、今のところ思いつきませんし…。
僕からは以上です。こういう場をお借りしてお話させていただき、ありがとうございました。
律(仮名) 24歳 フリーター