大学を中退して東京の寮付きのアルバイト探し
僕は去年まで北海道に住んでいました。北海道で大学に通いながら、スケート選手として日々練習に明け暮れていたんです。ところが昨年末のある大会で惨敗してしまい、挫折したんです。
その大会を目標に、何か月も練習を重ねていたのに、全くの無名の若手選手に惨敗したんです。僕自身の調子は結構良かったのに負けてしまったので、あ、これはいくら頑張ってももう駄目だなって思ったんですよね。そこから大学中退するまで、そんなに時間はかかりませんでした。
出来ればいっそのこと北海道から離れたい!という思いがどんどん強くなっていったのですが、僕には全く貯金がありませんでした。当たり前ですよね、今までバイトする暇が無かったんですから。そこで考えたのが、寮付きのバイトでした。
出来れば東京に出たいなと考えていたので、東京で寮付きの高額バイトを探すことにしました。そして見つけたのが出張ホストの募集だったわけです。無料の寮だし、高額バイトだし、なによりも出張ホストのバイトがとても楽しそうでいいなと思ったので、求人に応募してみました。すると即採用!すぐに東京の寮へ引っ越しました。
アルバイトをすることで、スケートのことを思い出さなくなりました。
東京へ出てきて3日目に、出張ホスト初出勤。僕、スケートの試合に数多く出場させてもらっているからか、普段全く緊張とかしないんですよ。でも、初出勤の日はずっとソワソワしてました。
今までの人生で味わったことのない気持ちになりました。でも、この時には完全にスケートのことは忘れていました。それまでは毎日毎日スケートのことばかり考えてしまっていたのですが、出張ホストが自分にちゃんと出来るのかっていうソワソワの方が断然上でした。これは自分でも意外でした。
でも、スケートを辞めてからは本当に辛かったので、僕としてはスケートを少しでも忘れられたことが嬉しかったです。翌日も、その翌日も出勤しましたが、出張ホストの仕事にどんどん慣れてきて、どんどん面白くなっていったので、ようやく自分の生活に希望が見えだしたんです。
バイトを頑張れば頑張るほどスケートのことを忘れられるし、有難いことにめちゃくちゃ稼げるから、最初の頃はもう、毎日毎日働きました。そして、貯金なんてせずに、欲しいものを次々に買いました。一攫千金状態ですよね、ほんとに。
スケート仲間に会って応援したい!
今ちょうど、バイトを始めて半年になります。この生活にもすっかり慣れましたし、欲しいものは一通り手に入れた実感もあります。気持ちにも余裕が出てきたのか、ようやくスケートから離れた自分を認められるようになった感じがします。
お金がある程度貯まったら、北海道に一度帰ろうかなと思っています。そして、今まで一緒に頑張ってきたスケート仲間を激励出来ればなと思います。彼らとは全く連絡を取ってなかったので、心配してくれているはずなんですよね。東京土産でも買って行ったら、喜んでくれるんじゃないかなと思うんですよね。今の小さな夢の一つですね。
優斗(仮名) 22歳 アルバイト