デザイン会社でグラフィックデザイナーとして働きながら、休日は好きなトレーディングカードのことばかり考えている――そんな毎日を送っていました。カードゲームへの投資は本当に楽しくて、新作の発売日には真っ先に手に入れるし、レアカードを見つけたときの興奮は何物にも代えがたいものです。ただ、その楽しみにお金をかけるためには、会社員としての給料では心もとないというのが正直なところでした。
デザインの仕事自体は充実していて、企画から制作までの過程は本当にやりがいがあります。でも給料だけでは、好きなことに思いっきりお金をかけることができない。その葛藤を何ヶ月も抱えていました。もっと稼いで、好きなことに時間とお金を費やしたいという気持ちが強くなり、副業を探し始めたんです。
副業との出会いが人生を変えた
求人サイトを眺めていたときに、出張ホストのキャスト募集が目に留まりました。最初は正直、抵抗感もありました。でも詳しく調べてみると、時間の融通が利くし、単発での仕事も可能で、会社員との両立ができそうだと感じたんです。何より、自分の明るい性格を活かせる仕事だと思いました。接客は好きなことだし、話すことが得意な自分にはぴったりかもしれないと考えるようになりました。
新宿の求人だったのも決め手でした。東京で働く身としても、移動時間も最小限で済みますし、アクセスも良い。思い切って応募することにしました。面接では、これまでのコミュニケーション経験や、デザイン業界での企画立案のプロセスについて話す機会があったんです。担当の方が「こういう話し方ができると、お客様も惹きつけられる」と評価してくださって、その場で採用が決まりました。
隙間時間を活かして指名を重ねる
初日は本当に緊張しました。出張ホストとしての振る舞いや、接客のマナー、お客様との距離感の取り方――わからないことばかりで、教えてくれるスタッフさんに何度も質問してしまいました。ただ、デザイン会社での営業経験が思いのほか役に立ちました。クライアントとの打ち合わせで、相手のニーズを読み取ったり、会話を盛り上げたりすることは日常的にやってきたことだったからです。
最初は本業との両立に不安を感じていたのは事実です。でも実際に働き始めると、スポット勤務を活用することで無理なく時間を作ることができました。会社から帰った後、週に2、3回の出張に応じる。そうやって隙間時間を有効活用していったんです。指名も少しずつ増えていって、3ヶ月もすると常連のお客様ができました。そのお客様たちが別のお客様を紹介してくださるようになり、稼げる仕事へと発展していったんです。
お客様との会話からビジネスのヒントをもらう
出張ホストの仕事をしていて気づいたのは、いろんな業界のお客様と話す機会が増えるということです。経営者のお客様、投資家のお客様、起業準備中のお客様――様々な背景を持つ人たちと、深い話をする機会が増えました。その中で、ビジネスの話や事業展開の話を聞いていると、自分の中にある「やりたいこと」がどんどん形を成していったんです。
特に印象的だったのは、あるお客様から「企画力を持ってることって、実は経営に必要な力だよ」と言われたことでした。デザイン業界で身につけた企画力、そして出張ホストの仕事を通じて磨いた人を惹きつける力――この2つを掛け合わせれば、何か新しいビジネスができるんじゃないか。その思いが日に日に強くなっていきました。
副業として稼げるようになったお金は、トレーディングカードへの投資ももちろんですが、同時にビジネス関連の書籍やセミナーにも使うようになりました。経営学、マーケティング、スタートアップの事例研究――本業と副業、両方の現場から学びながら、少しずつ知識を積み重ねていったんです。
独立起業への道を着実に進む
今は、本業でのデザインスキルと、出張ホストで培った人脈を活かしながら、独立起業のための準備を進めています。周囲からは「デザイナーとホストの両立なんて無謀じゃないか」と言われることもあります。親世代からのアドバイスもありますし、安定を求めろという声も聞きます。でも、その声に押しつぶされることはありません。なぜなら、両方の仕事を通じて、自分が何をしたいのかが明確になったからです。
デザイン会社では、クリエイティブな視点から社会に価値を提供することの喜びを学びました。出張ホストの仕事では、人と人との関係を築く中で相手のニーズを察知し、それに応える力がどれほど大切かを学びました。この2つの経験があれば、自分たちのビジネスで何かしら社会に貢献できるんじゃないかと信じています。
好きなことを仕事にしている人たちを見ていると、共通しているのは「それがなければ生きられない」という執着心のようなものです。トレーディングカードへの情熱、デザインへの想い、人と繋がることの喜び――それらすべてが、今の自分を動かしています。出張ホストという選択肢がなかったら、こんな風に考えることはできなかったと思います。
今の状況は、確かに一般的なキャリアパスではないかもしれません。でも、好きなことにお金と時間を使い、その中で新しい可能性を見つけることの素晴らしさを、身をもって体験できています。これからも、迷いながらも着実に、自分の夢に向かって歩んでいきたいと思っています。出張ホストで得た経験と人脈は、きっと独立後の大きな財産になるはずです。
翼 21歳 グラフィックデザイナー

