バーを巡るのが好きでした。仕事帰りじゃなくて、むしろ仕事がない日に限ってバーの椅子に座っていた。日雇いのバイトを転々としながら、給料日があってないようなもの。だから毎週末、安い居酒屋とか個人経営のバーとか、いろんな店を渡り歩いていたんです。別に酒が強いわけではなくて、店主の接客を見たり、店の雰囲気を感じたりするのが好きだった。いつか自分だって、こういう場所を作ってみたいなって。そんなことを漠然と夢見ながら、毎日フリーターで日々を過ごしていました。
あの夜、バーで声をかけてくれた人との出会い
フリーターの生活が長くなると、さすがに不安になってくるんです。親にも催促されるし、友達との生活水準の差も気になるし。安定した給料が欲しい。でも、体を使う仕事は性に合わない。そんなことを考えていた時期に、いつものようにバーに入った。薄暗い照明の中で、店主がカクテルを作っている。そのカウンターに座っていた時に、隣から声がかかったんです。「仕事探してるんですか?」って。
初対面の人に急に話しかけられるなんて、正直びっくりしました。その人は出張ホストのスタッフで、求人を探しているお客さんを見つけると声をかけるのが習慣らしい。興味本位で話を聞いてみることにしました。稼げる、時間が融通きく、接客の仕事。フリーターの自分にはぴったりな条件ばかり。その場で連絡先を交換して、面接の約束を取り付けていました。
接客の基礎がゼロ。最初は覚えることの連続だった
採用通知が来た時は嬉しかったです。ようやく安定した仕事にありつけると思った。でも、初出勤は地獄でした。接客の基礎がまったくない自分が、いきなりキャストとしてお客様の前に出されるわけです。何をどう話していいのか、どのタイミングで何をするのか、全部がわからない。先輩たちに教わったことも、頭に入ってこない。同じことを何度も聞いてしまったり、明らかに場の空気を読み間違えたり。迷惑ばかりかけていました。
でも、周りの人たちが見捨てずに指導してくれたんです。スタッフさんが丁寧に何度も同じことを教えてくれたし、先輩キャストたちも仕事を盗むように接客を見せてくれた。その優しさがなかったら、多分その場で辞めてたと思う。少しずつ仕事の流れが体に染みついていって、2週間目くらいから初めてのお客様ご指名をもらえました。あの時の嬉しさはすごい。やっと役に立てたんだと思った。
酒の知識が武器になった。指名が安定してきた理由
実は、バーを巡り歩いていた時間が活きたんです。店で飲むワインやウイスキー、カクテルのことを少しずつ学んでいたから。接客の基礎は整っていなくても、お酒の話になると自分の知識が出てくる。「このシングルモルトは熟成年数が長いから~」みたいな話で盛り上がるお客様がいたり、「君みたいなバーテンダー志向の話ができるキャストは珍しい」と褒めてくれるお客様もいた。
そうやって少しずつ指名をもらえるようになって、3ヶ月もしたら毎週指名が入るようになりました。日雇いで転々としていた時代では考えられない安定感。給料明細を見て、初めて「あ、これなら生活できるな」って思えた。親からの催促もなくなったし、友達との飲み会だって気兼ねなく参加できるようになった。フリーターから出張ホストになったことで、生活が変わったんです。
バーで知り合ったお客様からの一言が、密かな励み
働き始めて半年くらいしたことです。好きなお酒の話で盛り上がったお客様がいた。その人は本当にお酒が好きで、いろんな店を巡っている人だったんです。会話が弾んで、「いつか君と一緒にお店を作ろうや」って言われました。多分冗談だったと思う。でも、その一言が自分の中に残ったんです。
あの夜から、バーの店長になるという目標が、もう単なる夢じゃなくて現実的な目標になりました。今は新宿で出張ホストとして稼いでいるけど、この稼ぎを貯めて、いつかは自分の店を持ちたい。その時に大事なのは接客経験と、やっぱりお酒の知識だと思う。今の仕事で身に付けていることって、全部が将来に繋がってるんだ。そう気づけたのが大きかった。
稼げる環境が、夢を現実に変えた
出張ホストの仕事をしていなかったら、多分今でも日雇いをしながら「いつかバーの店主に」なんて言ってたと思う。でも、高額な給与をもらえる環境に身を置くことで、貯蓄の計画も立てられるようになった。この給料なら、何年で貯まるか、実際に計算できる。デリバリーホストとしての経験も、客層によって違うニーズがあることを教えてくれた。
フリーターで日雇いの頃は、毎日がその日暮らしで、先のことなんて考える余裕もなかった。でも今は違う。安定した給収がある。指名客も増えている。バーで学んでいることもどんどん増えている。全部が繋がってる。出張ホストとして働く中で、人を楽しませることの大事さも学んだし、接客の本当の意味も理解できるようになった。
将来はバーの店長として、独立を目指す
今の目標は、出張ホストで稼いだ資金と、この仕事で身に付けた接客経験を活かして、バーの店長になることです。そして、その先には自分の店を持つという夢があります。フリーターの時代には絶対に実現しないと思っていたことが、今は手の届く目標になった。応募してくれたあの日、あのバーでスタッフに声をかけられたあの瞬間が、人生の転機だったんだと思う。
明るいノリで人を楽しませるのは、昔からの得意なところ。それに、今は接客の基礎も身に付いた。お酒の知識だって増えてる。副業として始めた出張ホストという仕事が、いつの間にか人生を変える仕事になってました。この環境で働けることに、本当に感謝してます。
優斗 19歳 フリーター出身キャスト

