前職と似たところもあるのかなと思いつつ
僕はもともと宅配の仕事をしていました。給料はそんなに悪くなかったですよ。むしろ僕くらいの年齢なら、これくらいもらえていたら相当いいでしょう。ですが、なかなかラクな仕事とは言いがたく、いやもっと言ってしまうと、キツいものでした。体力的に、特に。
毎日が過酷。このご時勢になって宅配というのが何せ需要マックス級なので、どれだけやっても、仕事が終わりません。その分のお給料は当然出るのでいいのですが、なんとかもう少しラクに、できれば稼ぎは落とさず高収入が得られる仕事はないかな、と、いろいろ求人募集を見て出張ホストに決めました。
出張というのは宅配業の自分のスタイルに似ているものがあると思ったし(笑)、それに加えて人と関わる仕事というのを一度やってみたかった、という気持ちもあります。なかなか宅配ばっかりやっていると、言われても「ご苦労さん」とか「はい」くらいの受け答えなので、なんだか会話ができていないな最近、とずっと思っていたんです。
緊張したけれど今はなじんでいます
なんか、ありきたりなことを言うようですが、最初は緊張しました。それは、宅配業からいきなり転職してこういう世界ですから。でもそれも、最初の一週間くらいです。お店の方でそのとき順調だったこともあるのか、わりと次々と指名がついて、カタくなりっぱなりでした。
当時は正直出勤のたびに疲れていましたね(笑)ただ宅配の灰色の毎日過酷な日々と比べると、それなりに未来に展望は持てました。お客様と話していると、なんといってもこれまでにはないような新鮮さがあるし、それに後から知ったことなんですが、このお店は老舗店で利用される方の客層がすごい…。だからか、何気にとてもブッとんだ金銭感覚のお話を聞けたりするわけです。
と言いながらも、それを俗っぽく自慢するわけでもなく、本当にさり気ない冗談話のように話されるので、ついつい引き込まれて聞いてしまいます。そんなこんなのうちに、徐々に雰囲気がわかってきて、慣れましたね。老舗店ということもあるのでしょう、酒癖の悪い方とか品の悪い方のお相手をしたことは、自分はありません。
お店の格を感じながら働ける喜び
今では自分もそのような老舗店のスタッフの一員として、お店の格を落とさないようにしっかりと働いています。優しいお客様に支えられて、このお店があり、スタッフたちの姿がある。長年の経営実績は、キャストだけでなく、もちろん運営スタッフの努力の賜物ではないかと思います。
今、転職を考えていたり、仕事探しをしている方がいたら、僕としては推したいものです。単にバイト感覚でもいいし、こっちにすべてのウェイトを置いてもいいし、そのへんは自分の裁量で。お店もある程度の融通は利かせてくれるので、働き方は自分の気持ち次第だと思いますよ。
何よりお店を利用されるお客様の人格に触れると、自然に啓発されるものがあると思います。こういう気分になれるのは、普通に何か適当な職をやっていて、そうそうないものじゃないでしょうか。お客様と日常的に会話することで、精神衛生にもいいし、話術も磨かれます。
治(仮名) 21歳 元配送業